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竜王山

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  心のふるさと「竜王山」

 日本人の心のふるさとといえば富士山。それは誰もが認めるところです。雄大かつ優美なその姿は、古くから日本人の心を惹きつけてやみません。では小野田の人々の心のふるさとは何か。その代表的なのが 市の南部、周防灘に面する標高136mの竜王山ではないでしょうか。

 小野田の歴史は竜王山から始まったと言っても過言ではありません。6世紀には周囲に人が住み、須恵器の一大生産地としてにぎわいました。ふもとの木戸刈屋地区には古くから漁民が住むようになります。江戸時代以降の開作が行われるまでは竜王山を中心に小野田の歴史が刻まれてきたと言えるでしょう。

 この山を、小野田の人々は、知らず知らずのうちに毎日のように見てきました。信仰の山として大切にし、学校の遠足やウォーキング、ジョギング、花見などで、何度も登っています。まさに小野田の人にとって心のふるさとなのです。

竜王山

竜王山

 竜王山に注目するのは人間だけではありません。三方を海に囲まれ、周囲の山なみから仲間はずれにされたかのような竜王山は、様々ないきものにとって、やすらぎの場なのです。アサギマダラは日本を縦断し沖縄、台湾まで飛ぶ途中、群生するサワヒヨドリの匂いに誘われて途中下車します。本来は山地に生息するヒメボタルも国内有数の大産地で、夏には幻想的な光のショーを見せてくれます。関門海峡の方から種が運ばれてきたハマセンダンは、たった一本、200年もの間居座ってきました。その他にも、海岸性、山地性、多種多様な山野草が生育する竜王山は稀有な存在なのです。いきものを惹きつける不思議な力を発しているのかもしれません。

竜王山へのアクセス、施設の詳細はこちら

竜王山のお宝

山の誕生

山を照らす光

山を彩るいきもの

山が放つ不思議な力

山と信仰

マップ

山の誕生

人類の誕生より遥か前、竜王山は地中深いところで産声をあげました。

 緑色片岩  

緑色片岩

 竜王山の母岩は「緑色片岩」です。
 山の各地で岩肌を露出する緑色がかったこの岩石は、今から約3億年前(古生代)に堆積した火山噴出物が、約2億年前(トリアス紀)に、海洋プレートの沈み込み型造山運動によって地中かなり深いところに引きずり込まれ、一定の温度と高い圧力により造り直され生成された(変成作用)ものです。
 この岩石が何らかのきっかけで隆起して竜王山は誕生したのでしょう。それ以来、竜王山は小野田を見守っています。

八大竜王宮

八大竜王宮

 竜王山の名前の由来ともいわれるのが八大竜王宮です。
 今から1600年前、九州の熊襲(クマソ)追討のため日向国に向かっていた仲哀天皇は、本山岬の沖合で海難に遭いましたが、竜神の御神火によって九死に一生を得ました。本山に上陸し、御神火のあとを尋ねたところ、不思議な気のただよう神石を見つけ、竜王山に祀ったのが起源といわれています。
 毎年5月5日の祭りでは、神石を拝むことができます。

山を照らす光

 瀬戸内に浮かぶ天然の展望台、竜王山。360度広がる山頂からの眺望は六州望見、中国山地はもちろん九州や四国の山々が見渡せます。海と山、街が相まった眺望は、とても素晴らしく「せとうち夢街道50選」に選ばれました。
 日が落ち始めると様相が一変、山を3つの光が照らします。

 夕陽 

夕陽

 まずは、日が地平線にさしかかる頃、西方を茜色に染める夕陽です。ふもとの焼野海岸から望む美しい夕陽は「日本の夕陽100選」に選ばれるほど。多くの市民がウォーキングやジョギングを楽しんでいます。

夜景

 夜景

 惜しまれつつ茜色が濃紺に塗り換わると、北から南東にかけて街や工場の明かりが輝き始めます。溢れんばかりの宝石が散りばめられているかのよう。遠く対岸の九州や関門橋のほのかな光が合わさる、ここからの夜景は、「新日本の夜景100選」と「日本夜景遺産」に認定されました。

ヒメボタル

ヒメボタル

 竜王山を照らす光と言えば、もうひとつ、幻想的なヒメボタルの光です。国内有数の生息地で、毎年5月下旬から6月初旬にかけて、もみじ谷などでは幻想的な光のショーを観ることができます。ゆらゆらと光るゲンジボタルとは異なり、フラッシュのように強い黄金色を発光させるヒメボタル。山道はまるで地上の天の川のようです。

山を彩るいきもの

 竜王山を彩るのは光だけではありません。四季折々、花や木、昆虫が鮮やかに山を染めていきます。

 桜

 春になると山全体を淡いピンクに染める桜。今では県内有数の桜の名所として知られ、その数は一万本ともいわれています。

アサギマダラ

アサギマダラ

 秋には「旅する蝶」アサギマダラが竜王山に飛来します。あさぎ色のまだら模様の羽を持つ、一度見たら忘れられない美しい蝶。日本を縦断し沖縄、台湾まで2,000km以上を飛ぶ途中、竜王山に群生するサワヒヨドリの匂いに誘われて途中下車します。見ごろは10月中旬です。

 

ヒトリシズカ
ヒトリシズカ
コオニユリ
コオニユリ

山野草

 四季折々、竜王山を色とりどりに染めるのは山野草です。

 アマナ、ヒトリシズカ、ムラサキケマン、フデリンドウ、コバノタツナミ、ルリハコベ、ウラシマソウ、ウマノアシガタ、オカトラノオ、コオニユリ、ウバユリ、サイヨウシャジン、ツルニンジン、サワヒヨドリ、モリアザミ、シマカンギクなど。群落を形成するものもあり、まるでじゅうたんのようです。

 まちや工場に取り囲まれているにも関わらず、自然の宝庫である竜王山は、山地性植物と海岸性植物が共存し、貴重な山野草が四季を通じて観賞できる稀有な場所なのです。

ウバユリ
ウバユリ
サワヒヨドリ
サワヒヨドリ

モリアザミ
モリアザミ

シマカンギク
シマカンギク

山が放つ不思議な力

 竜王山にはパワースポットがいくつかあり、訪れるものに不思議な力を与えています。

耳観音 

耳観音

 浜河内の登山口から少し登ってところに聖観音が祀られている小堂がありますが、堂前に深さ3m、広さ2×4m余の垂直土窟があり、その形状が耳孔に似ていることから、耳観音と尊称されています。

 穴の開いた小石を奉納、読経祈念して土窟に入り、孔内を清掃すれば、耳の病気が治ると語り伝えられており、今でも耳を患った人がお参りしています。

子持御前

子持御前

 中腹にある子持御前は、当初は浜河内にありましたが、昭和44年(1969年)、現在地に移転しました。子安観音を祀り、子育て、子授けの観音として霊験あらたかと内外に聞こえ、「子の欲しい人は底のある袋」「子のいらない人は底のない袋」を自分の年の数ほど供え、願を掛けると思い通りになると言い伝えられています。

ハマセンダン

ハマセンダン

 そして、大浜神社跡の裏に生育するハマセンダンは、目通りは5.2m、根回りは約12m、樹高は約15mで国内最大級。異様な姿で枝をひろげる巨樹は見るものを圧倒し、大自然のパワーを感じずにはいられません。

山と信仰

 竜王山は、古くから信仰の山でもあります。社や石仏などが山の各地に建てられ、市民の心のよりどころとなってきました。

 大日如来像

大日如来像

 頂上近くに立つ大日如来像は、木戸の住民、酒井常松が建立したものです。
 常松は「こうして生活できるのも社会のおかげ、何か世のため人のためになることをしよう」と考え、昭和2~3年(1927~1928年)、大日如来像などを建て、桜を植えました。

薬師如来像

薬師如来像

 中腹にある薬師如来像には面白い逸話があります。
 昭和の初め、薬師如来像を建てる工事がやっと済んだ頃、人相の悪い男が残っていたセメントをひと袋盗みました。肩に担ぎ自分の家の近くまで来たところで、急に背中が割れそうなほど痛くなり、もがき苦しみ始めたので「セメントを盗んだからバチが当たったに違いない」とセメントを返したら苦痛がうそのように消えたとのこと。その固まったセメントが台座の上にくっついたまま残っています。

石像    石仏や小堂は、その他にも山の各地にあります。大師像や観音像など約40ヶ所に及び、小野田の人々の強い信仰心を表しているのでしょう。
 小野田市史【民俗と文化財】に一つ一つ書かれているので、市史を片手に山の隅々まで散策して見つけるのも面白いかもしれません。
亀の墓

亀の墓

 山頂近くには「亀の墓」があります。  
 むかし、木戸に与一という働き者の漁師がいました。ある晩、夢枕に大きな海亀が現れ「酒を飲ませてほしい。死んだら海の見えるところに埋めてほしい。」と言って消えました。翌朝、与市が浜に出たとき、死にそうになった亀がいたので、お酒を飲ませてやると満足そうに往生しました。見晴らしの良いこの場所に埋葬したところ、亀の恩返しか、与市は豊漁が続いたそうです。

風呂の川

風呂の川

 竜王山には弘法大師が来た形跡も。ふもと近くに「風呂の川」と呼ばれる小川があります。
 平安時代、この小川にみすぼらしい旅僧がやってきました。旅僧が杖をこの流れの真ん中に突き立てたところ、急に沸上がり、旅僧は悠々と行水を済ませ立ち去っていったとのこと。この僧は有名な弘法大師だったそうです。

参考文献

  • 小野田市史(小野田市)
  • ふるさと散策ー小野田編(河本寅雄)
  • 竜王山周辺を楽しむマップ(本山ふるさとづくり協議会)
  • 山陽小野田観光検定ガイドブック(山陽小野田観光協会)

ちょっと足をのばせば

オートキャンプ場

 竜王山中腹に、トレラーハウスやサテライトハウス、展望台などの施設の充実したオートキャンプ場があります。すべり台が竜の形をした大型遊具は、子供たちに大人気。おすすめは海に面したサイトで、海と空と九州を望む景観は解放感に溢れています。

焼野海岸・きらら交流館

 竜王山のふもとに広がる地中海風の焼野海岸は海水浴やマリンスポーツが楽しめ、ここから望む美しい夕陽は「日本の夕陽100選」に選ばれました。穏やかな周防灘を刻一刻と茜色に染める夕焼けの風景は、見るものの心を捉えます。
 海岸沿いには、トロン温泉やレストランを備えた「きらら交流館」もあり、自然とふれあいながら1日中のんびりと過ごすことができます。

きららガラス未来館

 焼野海岸にある公設ガラス工房。エナメル絵付け体験、サンドブラスト体験、ガラスアクセサリー体験、吹きガラス体験など、気軽にガラス作品制作を体験できます。きららガラス未来館で世界にひとつだけのガラス作品を作りませんか。
 館内には、ガラス造形作家の作品等も展示されている他、隣には市内在住のガラス造形作家の工房もあり、美しいガラス作品を販売しています。

キャンプ場

焼野海岸

ガラス未来館