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山陽小野田市はかつて、日本伝統文化のかるた競技(小倉百人一首かるた競技)が盛んであり、本市から二人のかるたクイーンを輩出するなど、「かるたのまち」として有名でした。
市内のかるた協会に個人で所属している競技者の他にも、市内の高等学校や山口東京理科大学に創設されたかるた部で競技かるたに打ち込む人も加わり、市内において「かるた」が再び盛んになりつつあります。
この背景には、市内のかるた協会や二人のクイーンが熱心に競技かるたの指導に携わるなど、かるたの普及・競技力向上に、地元指導者が大きく貢献しています。ここに市も加わり、本市の恵まれた環境を活かして、かるたのさらなる普及推進をおこなうことにより、市の知名度向上や郷土愛の醸成、交流人口の増加を図ります。
小倉百人一首を用いて札を取り合う競技のことです。100枚の札のうち、50枚を使用し、自分の陣地(自陣)と相手の陣地(敵陣)に25枚ずつ並べます。使用しない50枚は空札(からふだ)となり、読み上げられますが、取る札はどちらの陣地にもありません。空札が読まれたときに、札に触れると「お手つき」になります。
読み手が読み上げる上(かみ)の句を聞き、下(しも)の句が書かれた札を取り合い、自陣の札が早くなくなった方が勝ちとなります。敵陣の札を取った場合は、相手の札が1枚少なくなるので、自陣から相手に1枚渡す(送る)ことができます。相手がお手つきをした時も1枚送ることができます。このように、自陣の札を取るだけでなく、相手に札を1枚送ることで、自陣の枚数が1枚減り、勝利へ近づくことになります。
ルールには、競技の始まりと終わりに読み手と相手にきちんと礼をするなど、礼儀を重んじるルールもあります。
市では教育の一環として競技かるたに親しんでもらおうと、山陽小野田かるた協会講師が小中学校に出向いて実施するかるた教室を開催しており、今年度は10校11回の実施を予定しています。
7月14日(水曜日)、日頃からかるた活動が盛んな竜王中学校で教員を対象とした教室を開催しました。
講師は、競技かるた永世クイーンで竜王中学校の卒業生 久保久美子さんと山陽小野田かるた協会会長の松永進さん。
まずは 「きまり字五色二十人一首」(100枚の札を20枚ずつに色分けしたかるた)を机に並べ、久保永世クイーンの読みあげる上の句を聞いて、取り札(下の句)を取る散らし取りを体験しました。
「きまり字五色二十人一首」に記載された決まり字やイラストをヒントに語呂合わせで札を覚えるなど、札を早くとるコツを学びました。生徒へのかるた指導に活用できそうです。
100枚の札から無造作に選んだ25枚を裏返して並べ、札をめくりながら上の句から下の句まですらすらと読み上げる技を講師おふたりが披露。手元を熱心に見つめながら読み上げる句に聴き入る姿も見られました。
おふたりとも自陣内でそれぞれの札を置く場所を決めており、これも試合の際、札をより早くとる技のひとつです。
受講した教員のひとりは、「札の覚え方のコツを教えたり、動画を用いるなど、工夫しながら、今後も生徒と一緒に競技かるたに取り組んでいきたい」と語りました。
1日1首を暗唱し10首を覚えると百人一首検定を実施したり、廊下の壁に百人一首を掲示したりするなど、日頃から教育の一環としてかるた教育に取り組む竜王中学校では、生徒が気軽に百人一首に親しむことができる工夫が 校舎のいたるところに設けられています。
10月12日(火曜日)午後、竜王中学校において、小野田高校小倉百人一首かるた部と竜王中学校1年生、赤崎小学校、本山小学校の6年生の約170人が集まり、かるた交流会が開催されました。 昨年度に引き続き行われた交流会の様子をご紹介します。
かるた部発足の経緯や活動内容、成績を報告しました。 昨年は中国大会で団体戦優勝、今年の全国大会は過去最高のベスト16、個人戦でも健闘しました。
競技の進め方を説明し、試合をわかりやすく実演しました。
上の句が詠まれると、すばやく札を取る人もいれば、わからない時は教えてもらう姿もみられました。 藤田市長はかるた部員の生徒と対戦し、札を取る速さに圧倒されていました。
高校生に勝とうと小中学生は真剣な様子で向き合っていました。 札が取れるとみんな大喜び、なかには高校生に勝つチームもあり、会場は大いに盛り上がりました。
違う学校や年齢の人たちと一緒にかるた競技を楽しめたことは貴重な経験になったと思います。 将来、今回の交流会が心に残り、小野田高校のかるた部に入部し、かるた競技で活躍する生徒さんが出てくれるといいですね。
11月20日(土曜日)と12月5日(日曜日)に山口ゆめ回廊博覧会 ゆめ散歩 「恋すてふかるた」 を妙徳寺で開催しました。11月20日の1回目は、お寺の周りの紅葉が赤や黄色に色づき、ちょうど紅葉の見ごろと重なり素晴らしい景色に迎えられました。小学生から大人まで7名の参加者は袴姿に着替え、家族の方達や近隣の方々を含めると総勢27名が御本堂に集まりました。ご住職から御挨拶、奥さまはお寺の歴史、本堂に祀られた仏像についてお話しいただき、妙徳寺に流れる歴史に思いを馳せました。
山陽小野田短歌会代表 高崎淳子氏が山陽小野田市にゆかりの深い和泉式部の恋にまつわる数々の短歌を取り上げて、時代背景や歌に込められた想い、和泉式部の人生を辿りながら講義されました。
山陽小野田かるた協会から競技かるたの説明があり、久保久美子 永世クイーン と山陽小野田かるた協会の時吉氏 の対戦が始まると、映画「ちはやふる」の世界が広がり、取り囲んだ参加者は札を取る速さや音に驚いていました。 平安時代に始まった貴族の遊び、歌合せが実演されたあと、展示されている貝合せ、光琳かるた、英語かるたについて説明がありました。自由時間には、クイーンに教えて貰いながらかるた体験をしたり、百人一首を使ったお坊さんめくりで遊んだり、思い思いかるたと触れ合い楽しんでいました。
参加した小学生の男の子は、「小学校で百人一首大会があるのでお家で練習している。決まり字を覚えておくことが大切だとわかった。かるた遊びのお坊さんめくりが楽しかった。」と話していました。見事な紅葉に彩られた妙徳寺で行われた今回の「恋すてふかるた」は、お寺ならではの落ち着いた空気感に包まれて、かるたの和文化を思う存分堪能しました。
昭和47年から昭和59年までの13年間のうち、昭和51年だけを除く通算12年を山陽小野田市出身の沖美智子さんと堀沢久美子さんの二人がクイーン位を獲得、保持していました。
昭和51年に沖さんがクイーン位を奪われましたが、翌年の昭和52年には市内中学校の後輩となる堀沢さんが再びクイーン位を奪取しています。
昭和47年から昭和50年まで4期連続クイーンとなる。
昭和44年及び昭和51年は準クイーン。
昭和52年から昭和59年まで8期連続クイーンとなる。
5期連続クイーンとなった昭和56年に、初代永世クイーンとなる。
毎年1月上旬に小倉百人一首の第一番歌を詠んだ天智天皇を祀る滋賀県大津市の近江神宮の近江勧学館において競技かるたの日本一を決める「名人位・クイーン位決定戦」が開催されます。
前年に名人位とクイーン位の称号を獲得した者と、予選を勝ち上がった挑戦者が対戦します。決定戦の勝者が、その年の名人位とクイーン位となります。
※名人位は男性の称号、クイーン位は女性の称号
クイーン位を通算5期務めた者に与えられる称号。
永世クイーンの称号を持つ者は3名しかおらず、そのうちの一人が本市出身の久保久美子さんです。
名人位を連続5期あるいは通算7期務めた者に与えられる称号。永世名人の称号を持つ者は4名しかいません。
詳細は別ページをご覧ください。